どもりの症状が進行していった場合、それに付随して
二次障害を引き起こす可能性が出てきます。
これはどもり症に起因するストレスが大きいことが原因で、
中には精神面での治療が必要となるケースもあります。
少し前まで、日本ではどもりの原因を精神的な緊張によるものとする考えが強かったため、
どもりの治療法として長く用いられてきたのは心理療法でした。
現在でもそうした考えを持つ人は少なくなく、「どもりは緊張しすぎるから起こる」と
この記事を読んで思われた方もいらっしゃるはずです。
しかし、実際のところ、緊張状態はどもるため、もしくはどもるかもしれないと意識することによって
生じるものであるため、緊張がどもりを引き起こす、という考えは少々見当違いであると言えます。
例えば、どもりのある級友に対し、国語の音読の場面で落ち着くように
自分や他のクラスメイトが声をかけたりした、という事はありませんか?
それは声をかけた方からすれば励ましの気持ちなのでしょうが、どもりがある本人からすれば、
落ち着いていたとしてもどもってしまうのだ、と思っていたのかもしれません。
周囲のこうした行動はもちろん善意に基づいたものなのでしょうが、
残念ながらどもりに対して根本的な理解はしていないのでしょう。
そして、どもり症の人にとって、
こうした理解不足が大きな苦痛となってしまう事を認識している人も多くはないようです。
どもりを発症する原因は人それぞれですが、その症状が進行していくにつれ、改善が難しくなっていきます。
たとえどもりの原因を取り除けたにしても、
それによって進行してしまったどもりの症状が解消される事はありません。
また、緊張に慣れさせることでどもりが改善されると考える教師や職場の上司が、
皆の前で発言する機会を多く与える場合もあるようですが、緊張状態がどもりを引き起こす原因ではないため、
そのような荒療治的な対応がどもりの改善に繋がる事はないのです。
どもり症の人に対し、周囲の人ができる対応があるとするなら、
どもり症の人が話しているのを普通に聞いてあげることだと思います。